2013.6.28 fri.

議員提出議案 第5号

一般用医薬品の販売方法等に関する意見書(案) 反対討論

 

日本共産党 中山 雅之

 

 ただいま議題となっております議員提出議案 第5号「一般用医薬品の販売方法等に関する意見書」について、日本共産党の反対討論を行います。

 

 安倍内閣の産業競争力会議が、「成長戦略」の素案をとりまとめ、同じく経済財政諮問会議の「骨太方針(素案)」、規制改革会議の答申も、相次いで発表されました。規制改革会議の答申には、正規雇用の流動化やタダ働きの合法化、派遣労働の拡大、保育分野への株式会社参入拡大、市販薬のインターネット販売解禁などの、規制緩和が盛り込まれました。

 

 安倍首相が記者会見で規制改革会議の主な成果として真っ先に紹介したのは、「インターネットによる一般医薬品の販売解禁」でした。

 

 薬は、国家資格である薬剤師の資格を持った人が対面で販売することが原則です。薬剤の副作用防止のために必要であり、薬を買いに来た人に対し、売薬でなく病院受診を勧めるなど、適切なアドバイスもできるからです。

 

 この市販薬のネット販売解禁について、薬害の被害者をはじめ、日本薬剤師会、日本医師会も、薬のネット販売の全面解禁に反対しています。医療関係者(全国保険医団体連合会)からも、「安全よりも営利を優先していると言わざるをえない。薬害が増加することが懸念される」との声があがっています。

 

 市販薬による薬害事件として、胃腸薬キノホルムによるスモン病や、睡眠薬サリドマイドを妊婦が服用したことによる新生児の肢体障害が広く知られています。また、一般的な風邪薬によるスティーブンス・ジョンソン症候群や胃かいようなど重篤な副作用被害も起こっています。

 

 一方で、政府の産業競争力会議の民間議員も務める、インターネット市場大手企業の社長が、「全面解禁が実現しないなら、産業競争力会議の議員を辞める」と、首相に圧力をかけたことが報道されています。

 

 一部の企業の利益のために、国民の命と健康まで犠牲にするなど、もってのほかであって、許されません。

 

 そこで、この議題として提案されている意見書案文は、この一般用薬のインターネット販売の解禁を前提としているものであって、賛成することはできません。

 

 少なくない薬害を教訓として医薬行政は、国民のいのちと安全を第一義とすべきです。安全確保のルールを法律上で明確にしたうえで、離島・へき地や、やむをえない場合などを除いて、インターネット販売は原則認めるべきではないという意見書こそ、政府に上げるべきと、考えます。

 

 以上、意見書案文への反対討論といたします。